車中泊用の「セパレート型(室外機が分かれるタイプ)」ポータブルクーラーに、新しい選択肢が出ました。2026年に発売された、arataの「すずね(Suzune ACL-4100)」です。
私が調べているのは、夏の海に行けるようになりたいからです。街中や海のほうで車中泊をすると、蒸して汗をかいて眠れません。いまは山のほうへ走って標高を上げ、網戸とポータブルファンでしのいでいます。
気温は標高が100m上がるごとに約0.6℃下がります。1,000m上げれば約6℃。これはよく効きます。ただし「涼しい場所へ逃げる」対策なので、行きたい場所には行けません。真夏の海は、これまで宿に泊まっていました。
これまでこのタイプは、コイズミの「ラ・クール」がほぼ一択でした。すずねはそのラ・クールより約4万円安く、冷房能力は約1.8倍あります。数字だけ見ると、もう勝負がついているように見えます。
ところが、サブバッテリーで動かす前提で電気の計算をやり直すと、話が変わりました。この記事では2機種のスペックを並べ、12V・200Ah(約2,560Wh)のサブバッテリーで何時間動くかまで計算しています。
・サブバッテリーで一晩まわしたい/軽自動車ベースの狭い車内 → ラ・クール
・ただし「冷房力あたりの電気」で見るとすずねが約1.4倍うまく冷やせます(我が家と同じ60Hzの場合)。短時間で冷やして止める使い方なら、すずねが逆転します
・⭐日中も使うならすずね、夜の就寝中だけならラ・クール。日差しが無いぶん、夜は必要な冷房力が小さくて済みます
・🔴 すずねは起動の瞬間に1,200W以上が必要。インバーターの瞬間出力が足りないと、そもそも動きません
※この記事のアイキャッチ画像はAI生成画像です。実機を撮影した写真ではありません。
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🆕 すずね ACL-4100 とは?
すずねは、家庭用エアコンと同じ「セパレート方式」を採った車中泊向けポータブルクーラーです。販売元はarata(アラタ)。2026年発売で、価格は公式ストアで137,500円(税込)です。
セパレート型は、これまでコイズミの「ラ・クール」がほぼ一択でした。2026年になって、ようやく2つ目の選択肢が出たことになります。
いちばんの特徴は、音と熱を出すコンプレッサーを室外機側にまるごと追い出した点です。車内には冷たい風だけが届きます。一体型のように、車内に排熱ダクトを引き回す必要がありません。
| 発売 | 2026年 |
| 価格 | 137,500円(税込・公式ストア) |
| 冷房能力 | 約1.2kW(目安 約3.2畳) |
| 消費電力 | 410W(50Hz)/480W(60Hz) |
| 重量 | 約21.5kg(室内機+室外機) |
| サイズ | 室内機 419×201×387mm/室外機 518×215×389mm |
| 連結ホース | 約2m |
| 電源 | AC100V(50/60Hz) |
| 付属品 | リモコン、排水ホース、電源ケーブル、延長用廃熱ダクト、ダクトカバー |
冷房能力の目安は約3.2畳。これはハイエースやキャラバンの標準ボディ車内の、およそ1.8倍の広さにあたります。つまりバンサイズの車内を余裕をもって冷やせる設計です。
※2026年8月11日に確認した時点で、在庫があったのは公式ストアだけでした(楽天市場の商品ページは削除済み、Yahoo!ショッピングは在庫なし)。在庫は日々変わるので、最新はリンク先でご確認ください。
📊 スペック比較表:すずね vs ラ・クール
2機種を並べます。価格はどちらもメーカー公式ストアの税込価格です。
| 項目 | すずね ACL-4100 | ラ・クール(コイズミ) |
|---|---|---|
| 価格(税込) | 137,500円 | 178,200円 |
| 冷房能力 | 約1.2kW(目安3.2畳) | 2,210BTU(約0.65kW) |
| 定格消費電力 | 410W(50Hz)/480W(60Hz) | 300W(50Hz)/370W(60Hz) |
| 最大消費電力 | 記載なし(起動時は1,200W以上を推奨との実測報告あり) | 750W |
| 重量 | 約21.5kg | 18.8kg(室内機6kg+室外機12.8kg) |
| 室内機サイズ | 419×201×387mm | W400×H390×D185mm |
| 連結ホース | 約2m | 2m(分離不可) |
| 騒音値 | 公表なし | 58〜64dB |
| 電源 | AC100V(50/60Hz) | AC100V |
| 公式ストア在庫 | 在庫あり(2026年8月11日時点) | 完売御礼(同) |
表を1行ずつ追うと、性格の違いがはっきり出ます。すずねは「安くて強いが、電気を食って重い」。ラ・クールは「高いが、省電力で軽い」です。
🔍 選ぶときに効く3つの違い
① 冷房力は約1.8倍。ただし軽キャンには過剰かもしれない
冷房能力は、すずねが約1.2kW、ラ・クールが約0.65kW。すずねが約1.8倍です。
この差は実測でも出ています。RYUCAMPさんの実測では、33℃の車内が15分で28℃、30分で25℃まで下がりました。ながのキャンパル・田中裕之さんの実測では、43.5℃まで上がったハイエース車内が15分で35.1℃になっています。
では、ラ・クールは冷えないのか。そうではありません。マイベストの検証では、気温30℃・湿度80%に設定した部屋で、室温が7.54℃下がりました。同じ条件で比べた他のポータブルクーラーの多くが約3℃だったので、頭ひとつ抜けた数字です。0.65kWでも、密閉できる空間なら十分に冷やせます。
ただしこの検証は2024年時点のもので、掲載されている価格や最大消費電力がいまの公式スペックと違います。仕様が変わっている可能性があるので、参考値として読んでください。
ここで立ち止まりたいのが、その1.8倍が自分の車に必要かという点です。すずねの目安3.2畳は、ハイエース標準ボディの約1.8倍。軽キャンの車内は、それよりさらに狭くなります。
能力が余ると、冷えすぎて頻繁に止まる運転になります。エアコンは止まったり動いたりを繰り返すほど効率が落ちるため、余裕がありすぎるのも得ではありません。ハイエース・キャラバンクラスならすずね、軽ワンボックスならラ・クールで足りる、というのが素直な線引きです。
② サブバッテリーで何時間動くか計算してみた
車中泊で本当に知りたいのは、エンジンを切ったまま何時間もつかです。我が家のサブバッテリー(Renogy RBT12200LFP-BT-JP/12.8V・200Ah=2,560Wh)を基準に、単純計算しました。

| 条件 | すずね | ラ・クール |
|---|---|---|
| 定格(50Hz)で計算 | 410W → 約6.2時間 | 300W → 約8.5時間 |
| 定格(60Hz)で計算 ← 我が家はこちら | 480W → 約5.3時間 | 370W → 約6.9時間 |
| 実測値で計算 | 320〜350W → 約7.3〜8時間 | 実測データなし |
数字だけならラ・クールの勝ちです。我が家のインバーターは60Hz設定なので、見るのは「定格(60Hz)で計算」の行。ラ・クール約6.9時間に対して、すずねは約5.3時間で、差は約1.6時間です(50Hzで使っている方は上の行で、差は約2.3時間になります)。
ところが、RYUCAMPさんの測定ではすずねは320〜350Wで動いていることが多いと報告されています。定格410Wより2割ほど低い数字です。すずねの公式目安も「2,000Whで約6時間/3,000Whで約9時間」なので、実測と合っています。この線で計算すると約7.3〜8時間となり、ラ・クールとの差はほとんど消えます。ただし、この実測が50Hzと60Hzのどちらで測られたものかは分かりません。公平に比べるなら、上の表の「定格どうし」で見るほうが安全です。
・すずね:冷房能力1.2kW ÷ 消費電力480W = 約2.5(50Hzなら410Wで約2.9)
・ラ・クール:冷房能力0.65kW ÷ 消費電力370W = 約1.8(50Hzなら300Wで約2.2)
1Wの電気で取り出せる冷房力は、すずねのほうが約1.4倍あります(50Hzなら約1.3倍)。
※ここでの「1.2kW」は冷やす力、③に出てくる「起動に1,200W」は使う電気です。数字は似ていますが別のものを指します。
つまり同じだけ車内を冷やすなら、すずねのほうが電気を使いません。「一晩つけっぱなし」ではラ・クールが有利ですが、「寝る前に冷やして、涼しくなったら止める」使い方ならすずねが有利です。
もうひとつ、見落としやすい点があります。インバーターが50Hzで出力するか60Hzで出力するかで、消費電力が1割ほど変わります。表のとおり、すずねは410W/480W、ラ・クールは300W/370Wと差があります。我が家のインバーター(電菱 SK1500-112)を確認したところ、60Hz設定でした。この機種は本体前面の小さなスイッチ(S4)で50Hzと60Hzを切り替えるタイプで、S4が「I」側なら60Hzです。つまり我が家の場合は、すずね480W/ラ・クール370Wという「多いほうの数字」で考える必要があります。自分のインバーターがどちらで出しているかは、本体のスイッチか取扱説明書で確認できます。

③ 🔴 すずねは「起動の瞬間」に1,200W以上が必要
これが、スペック表に出てこないいちばん大事な注意点です。RYUCAMPさんは、瞬間出力1,200W以上のポータブル電源を推奨と書いています。
コンプレッサーは、動き出す瞬間だけ定格の何倍もの電気を引きます。定格410Wで動く機械でも、起動の一瞬だけ1,200W級を要求されるわけです。ここでインバーターやポータブル電源の出力が足りないと、保護回路が働いて止まります。「容量(Wh)は足りているのに動かない」という失敗は、ここで起きます。
ラ・クールは最大消費電力750Wと公表されています。用意すべき出力のハードルは、ラ・クールのほうが低いと言えます。
ここで、我が家のサブバッテリー側も確かめました。RBT12200LFP-BT-JPの公表値は最大連続放電200A、ピーク270A(30秒)です。12.8Vで換算すると、連続で約2,560W、一瞬なら約3,456Wまで出せます。
すずねの起動に必要な1,200Wは、バッテリー側で見ると約94A。インバーターのロスを足しても約110Aで、連続200Aの半分ほどです。つまりバッテリーには余裕があり、動くかどうかを決めるのはインバーターの瞬間出力だけということになります。
そのインバーターも確認しました。我が家に載っているのは電菱(DENRYO)の SK1500-112。連続で1,500W、起動の一瞬(サージ)は3,000Wまで出せる仕様です。すずねの目安1,200Wに対して2倍以上の余裕があり、数字の上では、すずねも動かせることになります。
自分のインバーター(またはポータブル電源)の「定格出力」ではなく「最大出力/瞬間出力/サージ出力」の数字を見てください。すずねなら1,200W以上が目安です。定格1,000Wの製品でも瞬間2,000Wまで出せるものは多いので、定格だけで判断すると読み違えます。
💰 4万円の価格差をどう考える?
差額は40,700円(178,200円 − 137,500円)です。安いほうが、冷房力は1.8倍あります。
ここで注意があります。ラ・クールを検索すると「89,800円」という数字も出てきますが、これは以前の情報です。いまコイズミダイレクトで売られているのは178,200円(税込)です。私も一度この数字にひっかかりました。クーラーのような高い買い物ほど、値段は必ずメーカーの販売ページで確かめてください。
ただし、ラ・クールには車中泊向けの作り込みがあります。室外機を車体のレインモールに引っ掛けるオプション「レインモールアダプター」(10,780円・税込)が用意されている点です。これを足すと約18万9千円になり、差額は約5万2千円に開きます。
すずねの室外機は21.5kgのうちの大半を占めます。これをどこに、どうやって置くかは、買う前に決めておく必要があります。車外の地面に置くのか、ラゲッジに載せて排熱を外に出すのか。ここは自分の車に合わせて考える部分です。
私がまだ買っていない理由は、値段です。もうひとつ、真夏は宿に泊まっていたので、無くても何とかなっていました。
この2つは、裏返すと同じ話です。宿に1泊1万円払うとして、ラ・クールの178,200円は約18泊分、すずねの137,500円は約14泊分。1泊2万円ならそれぞれ約9泊分、約7泊分です。「これから何回、真夏に宿を取るか」で損益が決まります。毎年2〜3泊するなら、1泊2万円なら3〜4年で追いつく計算です。
整理すると、冷房力あたりの金額ではすずねが明確に安い。設置方法まで含めた「すぐ使える度」ではラ・クールが上、という関係です。
🚐 我が家(エブリイ軽キャン)ならどっちか
我が家のエブリイワゴン軽キャンなら、ラ・クールを選びます。理由は3つです。
すずねの3.2畳はハイエース標準ボディの約1.8倍。軽ワンボックスの車内には過剰です。
2. 一晩まわす前提だと、定格の低さが効く
我が家の使い方は「寝ているあいだ動かす」。この使い方では、定格300Wと410Wの差がそのまま効きます。
3. 起動時のハードルが低い
最大750Wと公表されているラ・クールに対し、すずねは1,200W以上が目安。我が家のインバーター(サージ3,000W)なら数字の上ではどちらも動きますが、余裕の幅がまるで違います。インバーターが小さめの車や、ポータブル電源で動かす場合まで含めて考えると、選びやすいのはラ・クール側です。
ここで、もうひとつ大事な条件があります。我が家が使いたいのは、夜の就寝中だけです。炎天下の日中に車内を冷やすつもりはありません。
これが効きます。車内が暑くなる原因の大半は日差しだからです。日が落ちれば、その熱源が消えます。同じ車内・同じ外気温でも、夜に必要な冷房力は日中よりずっと小さくて済みます。「軽キャンで、夜だけ」なら0.65kWで足りる、というのが我が家の判断です。
逆に言うと、日中も使いたい人は答えが変わります。真夏の駐車場で、乗り込む前に車内を冷やしておきたい。そういう使い方なら、冷房力に余裕のあるすずねです。「いつ使うか」は、車のサイズと同じくらい選択を左右します。
逆に、ハイエースやキャラバンで車中泊をする方には、すずねを推します。冷房力が車内サイズに合っていて、しかも4万円安い。バンサイズなら、この2点だけで十分な理由になります。
クーラーを入れる前にできる暑さ対策は、「車中泊の夏の暑さ対策」にまとめています。18万円を出す前に、まずそちらを一通り試すのが順番として正しいと考えています。
⚠️ 買う前に知っておきたい弱点
良い点だけ並べても選べないので、気になる点も書きます。
・起動に1,200W以上の瞬間出力が必要(前述)
・騒音値(dB)が公表されていません。室内機側は静かとされていますが、数字での比較ができません
・連結ホースは2mで分離できません。室内機と室外機の距離が最初から決まります
・58〜64dBと公表されています。室外機側の音は、静かな場所では気になる可能性があります
・室外機を車体に掛けるには、別売のレインモールアダプター(10,780円)が要ります
2026年8月11日に確認した時点で、すずねはarataの公式ストアで購入できます(137,500円)。ただし楽天市場の商品ページは削除されており、Yahoo!ショッピングは在庫なしでした。ラ・クールはコイズミダイレクトで「完売御礼」のままです。セパレート型はどちらも数が少なく、夏本番には手に入りにくくなります。買うなら、シーズン前に動くのが現実的です。
ラ・クールを含む3機種(EcoFlow WAVE 3・EENOUR QN750)の比較は、「コイズミ「ラ・クール」は買い?車中泊向けポータブルクーラー3機種を徹底検討」で詳しく書いています。一体型も候補に入れるなら、そちらもあわせて読んでください。
❓ よくある質問(FAQ)
📝 まとめ:どっちを狙うか
セパレート型の選択肢が2つになったことで、車のサイズで選び分けられるようになりました。
・ハイエース、キャラバン、バンコンなどバンサイズの車内
・日中も使いたい(炎天下の車内を、乗り込む前に冷やしたい)
・瞬間出力1,200W以上の電源を用意できる
ラ・クール(178,200円)を選ぶ人
・軽ワンボックスなど、狭い車内
・使うのは夜の就寝中だけ/一晩つけっぱなしで寝たい
・室外機の設置方法まで用意されているものが欲しい(レインモールアダプター)
私はエブリイ軽キャンで、使うのは夜の就寝中だけなので、ラ・クール側です。ただし「冷房力あたりの電気」ではすずねのほうが約1.4倍効率がよく、そこは素直に強いと感じました。次の車がバンサイズなら、迷わずすずねを選びます。
すずねは公式ストアで買えます(2026年8月11日時点・137,500円)。ラ・クールは完売御礼のままです。導入したら、実機で測った数字をこの記事に追記します。
・RYUCAMP「SuzuneのポータブルクーラーACL-4100をレビュー!熱帯夜でどれくらい冷えるか検証してみた」(室温33℃→15分で28℃・消費電力320〜350W・3,072Whで8時間40分・瞬間出力1,200W以上の推奨)
・ながのキャンパル 田中裕之「arata ポータブルクーラー『Suzune ACL-4100』は本当に涼しいのか。炎天下の車内で実測してみた話」(2026年7月18日・ハイエース車内 43.5℃→15分で35.1℃)
・マイベスト「コイズミ ポータブルクーラー『ラ・クール』をレビュー!クチコミ・評判をもとに徹底検証」(気温30℃の密閉空間で室温7.54℃低下・2024年時点の検証)
・スペックと価格は各メーカーの公式ページ(arata/コイズミダイレクト)で2026年8月11日に確認しました。
