
夏の車中泊は、暑ければ最悪その場を離れれば済みます。冬は違います。「車中泊 冬」と検索すると、候補に「死亡」「危険」が並びます。
私は軽キャンパーで、冬も車中泊をします。スノーボードに行くためです。この記事では、寒さ対策をお金のかからない順に7つ並べました。やってはいけないことも3つ、先に書きます。
🧭 冬の車中泊は、この順に手を打てばいい
寒さ対策は、安いものから順に効きます。
- 停める場所を選ぶ(0円)
- 窓をふさぐ
- 隙間をふさぐ
- 床からの冷えを切る
- シュラフを見直す
- 電気敷き毛布を使う
- FFヒーターを使う(付いている車を買う/後付けする)
上から4つは、ほとんどお金がかかりません。しかも効き方が大きいのは上のほうです。窓と床の断熱をせずに高い寝袋を買っても、冷気は下と横から入ってきます。
本気で冬に泊まるなら、答えは7番です。ただしこれは装備を買う話ではなく、車を選ぶか、工事をするかの話になります。詳しくはFFヒーターの章に書きました。
⚠️ 先に言っておきたい、やってはいけない3つ
冬の車中泊で命に関わるのは、寒さそのものよりエンジンのかけ方です。
1. 雪が降る中でエンジンをかけたまま寝る
これが一番危険です。マフラーが雪で埋まると、排気ガスが車の下にたまり、車内に入ってきます。
JAFが実際に測っています(JAFユーザーテスト・2015年2月16日/北海道旭川市)。
| 条件 | 一酸化炭素の濃度 |
|---|---|
| 何もしない | 16分後に400ppm → その6分後に測定上限の1,000ppm |
| マフラー周辺を除雪 | 終始ほとんど検知されなかった |
| 窓を5cm開けた | 5分で100ppm台 → 約40分で400ppm → その後800ppm台 |
注目してほしいのは3行目です。窓を5cm開けても、約40分で400ppmに届きます。「換気しているから大丈夫」は成り立ちません。
一方で、マフラーの周りを除雪した場合はほとんど検知されていません。つまり対策は換気ではなく除雪です。
私も昔は、エンジンをかけたまま寝ていました。
15年以上前、ジムニーに乗っていた頃です。スキー場のふもとの道の駅で、朝までかけっぱなしでした。危険だという意識がありませんでした。
何も起きなかったのは、運が良かっただけです。上の表のとおり、マフラーが雪で埋まれば16分で400ppmに届きます。
いまは、雪の日はエンジンを切って寝ます。FFヒーターがあるからできることでもあります。
ただし、FFヒーターなら安全という話ではありません。FFヒーターの排気口も車の下にあります。ここが雪で埋まれば、起きることはエンジンのときと同じです。
エンジンでもFFヒーターでも、雪の中で暖房を使うなら排気の出口を除雪する。ここは変わりません。
2. 寒いからと窓を完全に締め切る
人が寝ていると、車内は水蒸気でいっぱいになります。朝、窓の内側が凍っているのはそのためです。
少しだけ開けるか、換気口を確保します。ただし上に書いたとおり、これはエンジンを切っている前提の話です。
3. 装備が足りないまま、雪の山へ行く
寒さは、我慢ではどうにもなりません。次の章から書く対策のうち、せめて窓と床だけは済ませてから行ってください。

🅿️ 0円でできること:停める場所を選ぶ
屋根のあるところに停められれば、それだけで条件が変わります。雪が積もらないからです。
積もらなければ、朝の除雪が要りません。マフラーが埋まる心配も減ります。前の章に書いたリスクが、停める場所だけで小さくなります。
屋根のある道の駅がある
兵庫県の道の駅ハチ北(香美町村岡区福岡608-1)には屋根があります。しかも地下熱を使った融雪設備が付いています。
駐車場は地下熱を利用した無散水融雪設備や屋根を備え
国土交通省 近畿地方整備局
トイレ・駐車場・公衆電話は24時間利用できます
ハチ北高原スキー場のふもとです。
私がここを使ったのは15年以上前、ジムニーに乗っていた頃です。設備は変わっている可能性があります。屋根については、上の国土交通省の記載を根拠にしてください。
当時の記憶で、いまも役に立ちそうなことが1つあります。屋根のある区画は、大型トラックの停車位置と重なりやすいことです。私が屋根の下に停めた夜は、隣の大型トラックの音で眠れませんでした。
ハチ北の駐車場は34台。うち14台が大型枠です(国土交通省の同じページより)。屋根を取るか、静けさを取るか。冬はそういう選択になることがあります。
サービスエリアの建物の下にもある
道の駅 南えちぜん山海里(福井県南越前町)は、北陸自動車道の南条サービスエリアに隣接しています。サービスエリアの建物の下に、屋根付きのスペースが10台ぶんほどありました。
私が停めたのは10月なので雪はありませんでした。ただ、こういう造りの道の駅があると知っておくと、冬に効いてきます。駐車場とトイレは24時間使えます(公式サイト)。
探し方
- 建物の下を見る。サービスエリアや道の駅は、建物の一部が駐車場の上にかぶさっていることがあります
- 雪国の道の駅を調べる。融雪設備や屋根を持っているところがあります
- 屋根がなければ、せめて風の通り道を避ける。冷気は低いところにたまります
⚠️ 道の駅は寝るための施設ではありません。私は目的地までの仮眠として使っています。テーブルを出す、外で調理するといったキャンプ行為はしません。車中泊を禁止している場所には停めません。
🪟 数百円で効く:窓と隙間をふさぐ
冷気は窓から入ってきます。ガラスは薄く、断熱材が入っていません。
窓は銀マットを切って当てる
100円ショップのアルミシートや銀マットを、窓の形に切って当てます。段ボールで型紙を作ってから切ると、隙間が減ります。
既製品のシェードは形が合っていて見た目もいいですが、断熱という一点なら自作の銀マットでも変わりません。
隙間をふさぐ
隙間ができるのは、銀マットのフチと窓枠のあいだです。ここが残ると、せっかく窓を覆っても冷気が入ってきます。対策は道具を足すことではなく、窓枠ぴったりに切ることです。型紙を作る手間は、ここで効いてきます。
カーテンは隙間をふさぐ道具ではありません。私も仕切りカーテン(ココカーテン)を使いますが、目的は目隠しです。布1枚では、フチから入る冷気は止まりません。
目隠しの方法は「リアゲートカーテン vs SHINOBIブラインドラゲッジ」に比較を書きました。
🧊 床からの冷えを切る
下からの冷えは、上からの寒さより気づきにくく、体にこたえます。車の床は鉄板一枚です。
マットを選ぶときはR値を見ます。R値は断熱の強さを表す数字で、大きいほど冷えを通しません。冬なら4以上が目安です。
使っているマットは「軽キャンの寝具レビュー」に書いています。

🛌 シュラフを見直す
私は季節で使い分けています。春から秋はノルディスクの封筒型、真冬はネイチャーハイクの封筒型です。
真冬はシュラフ単体で耐えようとしません。次に書く電気敷き毛布と組み合わせます。
詳しくは「軽キャンの寝具レビュー」へ。
⚡ 電気敷き毛布と電源
冬の車中泊で、費用対効果がいちばん高い買い物だと感じています。
使っているのはライフジョイの電気敷き毛布 JBS401D(130×80cm・日本製)です。楽天市場で2,680円でした。
体に接するものを温めるので、空気を温めるより効率がいい。私はこれを敷いて、その上に寝袋を置いています。
どれくらい電気を食うのか
定格は40Wです。メーカーが公表している電気代は次のとおりです。
| 設定 | 表面温度 | 電気代(1時間) | 逆算した消費電力 |
|---|---|---|---|
| 強 | 約52℃ | 約0.72円 | 約23W |
| 中 | 約36℃ | 約0.44円 | 約14W |
| 弱 | 約20℃ | 約0.07円 | 約2W |
(ライフジョイ公式サイトの仕様より。1kWh=31円で計算)
「弱なら1時間0.07円」という数字だけを見ると、ほとんど電気を食わないように見えます。でも表の2列目を見てください。弱の表面温度は約20℃です。つまり弱は「室温くらいに保つ」設定で、暖かい部屋ではほとんど通電していません。
だからこの数字をそのまま冬の車内に当てはめてはいけません。氷点下の車内では、弱に設定しても表面20℃まで上げるために通電し続けます。電気代も消費電力も、この表より大きくなります。
実際に測ってみました
手元の毛布が本当にメーカーの公表値どおりなのか、サブバッテリーのアプリで実測しました。
| 設定 | バッテリー側の実測 | コンセント側に換算 |
|---|---|---|
| 強 | 約43W | 約36〜39W |
| 中 | 約36W | 約31〜33W |
毛布を挿さない状態が約12Wでした。毛布を入れたあとの数字から、この12Wを引いています。
測ったのはサブバッテリー側(12V)です。この数字には、インバーターの変換ロスが乗っています。毛布そのものが使う電力(コンセント側)より、1〜2割大きく出ます。どちらで測った数字なのかで、意味が変わります。
ライフジョイの公式仕様はAC100Vで40Wです。コンセント側に換算した約36〜39Wと、ほぼ一致しました。スイッチを入れた直後は、強でカタログどおりの全力で動いています。
意外だったのは、中との差が小さかったことです。強43Wに対して中36W。1割6分しか違いません。ところが電気代で比べると、中は強の6割です。
測っているものが違うからです。私が測ったのは「入れた直後の、その瞬間」。電気代のほうは「何時間もならした平均」です。電気毛布は温まると、サーモスタットで切れたり入ったりします。強と中の差は、瞬間の強さではなく、切れている時間の長さで出ている。そう考えるとつじつまが合います。
この実測は、真夏の車内でのものです。バッテリーの温度は34.5℃です。冬の車内では設定温度まで上げるのに時間がかかり、通電している時間が長くなります。ひと晩あたりの消費は、これより大きくなります。冬に実際にひと晩ぶんを測って、この記事に追記します。
ポータブル電源なら何時間もつか
強で入れっぱなしにした場合の目安です。表記の容量をそのまま使える前提で計算しています。
| ポータブル電源の容量 | 強で使い続けた場合 |
|---|---|
| 500Wh級 | 約11時間 |
| 1,000Wh級 | 約23時間 |
実際にはサーモスタットで切れている時間があるので、これより長くもちます。逆に冬は通電時間が延びるので短くなります。ひと晩8時間なら、500Wh級でも足りる計算です。
車内の電源環境は「軽キャン快眠環境づくり6選」にまとめています。
🔥 FFヒーター:後付けするか、付いている車を買うか
ここが、私がいちばん書きたかったところです。
FFヒーターは、エンジンを切ったまま使える暖房です。車の燃料を少しずつ使って、車内の空気を温めます。燃やしたあとの排気は車の外に出るしくみなので、温まった空気だけが車内に回ります。
ただし、その排気口も車の下にあります。Webastoのヒーターを積むキャンピングカーメーカーのバンテックは、こう注意しています。
雪中キャンプなどで雪がしんしんと降っているときなどは、知らずの内に車体のボディーと地面との隙間が雪でふさがってしまい、思わぬ事故が発生する場合があります。
バンテック キャンピングカーQ&A
つまり「FFヒーターだから安全」ではありません。雪が降り続く夜は、排気口の周りを気にかける必要があります。
大雪の予報が出ている夜は、泊まらないのがいちばん無難です。私は車中泊をあきらめて、朝いちばんで出発するほうに切り替えています。
それでも泊まるなら、屋根のある場所を探します。降り続く雪の下では、寝ているあいだに排気口がふさがることがあります。これは装備でどうにかする話ではなく、行くか行かないかの話です。
「FFヒーター」で検索すると、候補に出てくるのは「取り付け」「後付け」「業者」「費用」です。みんな後から付ける方法を探しています。
私は「FFヒーター付き」を条件にして中古を探しました
私の車には、買ったときからFFヒーターが付いていました。たまたまではありません。中古車を探すときの条件に入れていました。
冬に車中泊をするなら、暖房が要る。後から付けるより、最初から付いている車を買うほうが早い。そう考えて探しました。
この視点で書いている人を、私はほとんど見かけません。後付けの費用を調べる前に、付いている車を買うという選択肢があることは知っておいて損はありません。
使ってみてどうだったか
付いていたのは、ベバスト(Webasto)のAir Top 2000 STC Altitudeです。本体の銘板で確認しました。
ガソリンを燃やすタイプで、車の燃料タンクから直接引いています。暖房の力は最大2.0kW。弱めれば0.9kWまで絞れます。
うしろに付いたAltitudeは「高地対応」という意味です。標高が上がると空気が薄くなり、燃え方が乱れることがあります。この機種は、そこを調整するように作られています。高原や峠で寝るなら効いてくる違いです。
音は、私は気になりませんでした。眠れないほどではありません。
燃料の消費は、私は測っていません。代わりに公式の数字を置きます。日本の総代理店(ベバスト サーモアンドコンフォート ジャパン)は「ひと晩8時間の使用で燃料消費は1L程度」と公表しています。1時間あたり約0.125Lです。
ガソリンを1L=180円とすると、ひと晩つけっぱなしで約180円。エンジンをかけたまま寝るのとは、燃料の減り方が違います。
出典:ベバスト サーモアンドコンフォート ジャパン「Air Top 2000 STC」/ドイツ本国の仕様書では0.12〜0.24L/hと幅を持たせています(Webasto公式)
気になる点
私の車では、FFヒーターとサブバッテリーがフラットベッドの下に入っています。そのぶん寝床の位置が高くなります。天井までの距離が減るので、座ったときに少し窮屈です。
この構造の話は「ほぼ2年乗って感じたエブリイ軽キャンの4つのデメリット」に書きました。
それでも、冬に泊まるなら
エンジンを切ったまま暖が取れる。これが冬の車中泊では大きい。前の章に書いたリスクは小さくなります。ただしゼロにはなりません。上に書いたとおり、排気口が雪で埋まれば同じことが起きます。

❓ よくある質問(FAQ)
📝 まとめ
冬の車中泊で最初にやることは、停める場所を選ぶことと窓と床をふさぐことです。ここはほとんどお金がかかりません。
そのうえで電気敷き毛布を足します。私はこの組み合わせで、真冬の夜も寝られています。寒さの感じ方は人によって違うので、効き方も変わります。
そして雪の中でエンジンをかけて寝ない。かけるなら、マフラーの周りを除雪する。窓を開けるだけでは足りません。
季節が逆の話は「車中泊の夏の暑さ対策」にまとめています。
